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2022.06.08

ピナ・バウシュ

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むかし、ダンサーの友人に勧められてピナ・バウシュの東京公演を観に行ったことがある。
会場は忘れたが超満員。
運良く前から三列目。
二幕構成。
一幕目は本人が出演したコンテンポラリー。
びっくりするほどつまらなかった。
休憩に入り、緞帳が上がり袖幕も上がり、普通ありえないがスタッフがずかずか舞台に出てきた。一輪車で砂を敷きはじめる。唖然。
そして全面、砂。砂。砂漠
二幕目『春の祭典』
男性と女性の集団
舞う、
泥だらけ、舞う
ぶつかり、倒れ
舞う?違う、なんだ?
女性は衣装が破れ胸がはだけた
音楽激しく
もう踊っていない
閃光、フラッシュバック、閃光
音速で動く集団
シンメトリー、アシンメトリー、塊、集散、集散、集散、
集団が呼吸を、集団がひとつの生き物
ムクドリの集団
はじける
黒人の女性がひとり中央に歩みでて、ゆっくり右手を天に
倒れる
終演
会場、ダンサーの吐きそうなくらい肩で息をする音のみ
会場は沈黙。沈黙。静寂
すると刹那、最後列から轟音が響く。サイレンのようなスタンディングオベーション、歓声と岩のような大拍手の波。
会場が割れる。
しかし、自分が座っていた三列目あたりの人達は立ち上がれない。全員号泣。
もちろん、自分も
芸術やアートが何かはいまだにわからないが『そこにある』ことだけはその時確信した。
▼ピナ・バウシュ
ドイツ、コンテンポラリー・ダンスの振付家、舞踊家
2009年68歳没

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